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トップインタビュー

これまでの
資源再生だけに
とどまらない。
これからの資源循環を、
動静脈一体となって
実現。

代表取締役社長油木田 祐策

2019年より代表取締役社長に就任。前職・三菱商事株式会社に入社後、石炭・金属・エネルギーなどの事業に携わり、ロンドンやシンガポールへの出向というグローバルな職務を経て現職に至る。これまで培った豊富な経験と幅広い識見、優れたリーダーシップを発揮し、アサカ理研の持続的な企業価値向上と経営体制の強化を牽引している。

アサカ理研の事業・経営方針について実現可能性を見抜き、貫くこと

  • 2019年に代表取締役社長に
    就任しました。
    改めて、アサカ理研の
    社長になると決めた理由を
    伺ってもよろしいでしょうか?

    前職は三菱商事で、金属・エネルギー関係の仕事に長く携わってきました。
    グローバル展開の責任者に就いていましたが、「チャンスがあれば、会社のトップとして自分の能力を更に発揮したい」と考えていた折、前社長・現会長の山田慶太氏にヘッドハンティングされたのがきっかけです。
    当時より、JASDAQに上場していたこと、「リチウムイオン電池(以下「LiB」)の再生」という新しい事業を始めていたことに伸びしろと面白みを感じました。
    また、2011年の東日本大震災での経験も入社を決めたきっかけとなりました。
    前職時代にもいわき市へ赴くことが多々あり、当時は主力であった火力発電から徐々に原子力発電へ移り変わる、エネルギーの変遷を目の当たりにしてきました。
    そんな中、発生した東日本大震災。
    これを契機に、「新しいエネルギーを福島で実現」し、福島の復興に貢献したいという思いを強く持ちました。

  • 執務室だけにいると社員の顔が見えず、温度が伝わってこないので、
    良いことでも悪いことでも1日に1回は直接会って話を聞きたい。

入社当初、アサカ理研に対して感じた
良い点と課題点は何でしょうか?

入社したばかりの頃に感じたのは、社員のみなさんがとても素直であるということです。
私が提言することを反論せずに、素直に聞き入れる姿勢には感心しました。
一方、やろうとしたことがうまくいかない時に、見切りをつけてしまうのが早いというのが課題ではないかと感じました。

その時感じたことをふまえて、
経営にあたりどのようなことを
意識していますか?

アサカ理研の特徴は、社員に素直さがある一方、プロジェクトへの執着心が弱い点であり、言い換えれば今後もっと成長できる伸びしろではないかと感じています。
現在はそれを具体的に成長させようとしているところです。重要なのは、一度始めたらしつこく続けることだと思います。
誰もやりたがらないことを自ら率先して行い、最後までやり遂げることを習慣化させること。それこそが、個人としては勿論、企業としても成長できる源だと確信しています。
昔は「語るより(結果を)出せ」という風潮がありましたが、現代でそうある必要はないと思います。目標をしっかりと定めて宣言し、努力することにより結果が伴ってきます。
アサカ理研にはそれが表れていて、現在は「言ったことは実現させる」という有言実行の体質を根付かせようとしています。
経営の立場から言えば、本当に実現できるか否かを見抜き、絶対に実現できると思うに至る確証があって、初めて目標として掲げることができているのです。

新事業として取り組んでいる
LiB再生事業について
新たな資源循環構築への第一歩

  • LiB再生事業では、どのようなことに
    取り組んでいるのでしょうか?

    「LiB」にはハイブリッド車やEVなどをはじめとする車載用バッテリーとしての役割のほか、再生可能エネルギーの家庭用蓄電池としての役割や、災害時の電力バックアップとしての役割も注目されています。LiB再生事業では、これら役目を終えた使用済みLiBからレアメタルであるニッケル、コバルト、リチウムを単にメタルとして回収するのではなく、電池材料の製品として再生します。
    このことをアサカ理研では、「LiB to LiB」と呼んでいます。長年にわたり培ってきた技術力を武器に、理想とするサーキュラーエコノミーの実現を目指します。
    実現のためには、再生しやすいLiB材料を作り出すこと、LiBに関わるサプライヤーや他メーカーなどとのパートナーシップを構築することが必要になってくると考えています。
    そこで第1弾として、2021年には東邦亜鉛株式会社と前処理工程での共同研究を締結しました。
    同社の得意とする乾式処理のノウハウと、アサカ理研の得意とするノウハウを組み合わせ、レアメタルを効率的に回収できる原料の製造を目指します。
    このように、前処理工程、回収工程を担う企業のみならず、電池メーカーや自動車メーカーなどの動脈産業と連携しコンソーシアムを形成することで、わたしたち静脈企業と一体となった循環型リサイクルの中において、資源循環の構築に貢献したいと考えています。

  • 電気自動車やハイブリッド車といった次世代車やスマートフォンなどの最先端デバイスの動力源として使用されるリチウムイオン電池。主原料である希少金属の回収・精製に着目し、2019年よりLiBの研究開発・事業化を進めている。

将来のビジョン2030年を見据え、
LiB to LiBの
早期実現を

  • LiBを取り巻く
    10年後、20年後、、、の
    情勢はどうなっていくと思われますか?

    アサカ理研の目指す方向性や技術は正しいと考えていますが、真の技術力が評価されるにはすごく時間がかかるという課題があります。
    なぜなら、脱炭素化社会を目指した本格的な動きは近年始まったばかりであり、世の中の意識が変わるのにはタイムラグがあるからです。
    現在のエネルギー需要では再生可能エネルギーの割合が18%、化石燃料の割合が70%以上を占めています。経産省では2030年までに再生可能エネルギーを30%程度まで増加させ、化石燃料を50%以下に削減することを目標としており、一気に脱炭素社会へ移り変わることはありません。
    EVを一つの例とすれば、EVが廃車となり廃電池として増え始めるのが5年後と言われ、爆発的に増えるのが10年後、つまりエネルギー転換の真っ只中である2030年頃と言われています。とは言え、ゆっくり構えてはいられません。
    なぜなら、廃LiB再生に関わるプレイヤーの選択は既に始まっているからです。
    「廃LiBの再生といえばアサカ理研」と言われるような人気と評判を確実なものにするため、ちょうど今が頑張りどころですね。

  • 確かな技術を客観的に証明し、競争を勝ち抜いてゆきたい。
    そして、「LiB再生と言えば福島のアサカ理研」というイメージを確立し、
    技術者や、福島県で事業を行うことに誇りを持つ仲間を集めたい。

そのような状況下、アサカ理研として、
どのように対応していきたいと
お考えですか?

LiB再生事業に対する先行投資の傍ら、まだまだ伸びしろがある貴金属・環境・システム、3つの既存事業の利益を着実に伸ばしていくことが重要であると考えています。
そのために、足元の既存事業における技術力や営業・管理基盤の改善、マスメディアを利用した企業周知、人材の登用、工場リノベーションといった取り組みを行っています。

SDGsやESGには
どのように対応していきますか?

「地球上の誰一人取り残さない(No one will be left behind)」を誓うSDGsですが、これは非常に難しい命題です。
例えば、アサカ理研の目指す「LiB to LiB」実現には、EVをはじめとするLiBを内蔵する製品が想定以上に急速に普及することが望ましいともいえます。
しかしそうなるとEVにだけ限っても、自動車づくりに携わる数多くのエンジン・機械メーカー、燃料を供給してきた石油業界などには、
大きな産業構造の変革が求められるようになります。
変革の進め方を一歩間違うと、多くの人が路頭に迷うことにもなりかねません。
現在直面しているグローバルな課題は、政府、自治体、民間企業、生活者を問わず、一体となって解決していかなければならないものですが、
これまでに招いてしまった地球温暖化や人権問題は、これからの行動により変えることができるものと信じています。
「LiB to LiB」を実現させることで、経済的価値や社会的価値を生み出し、動脈と静脈の良いバランスを見つけていきたいと考えています。

株主・投資家の
みなさまへ

私たちが取り組んでいることは、今すぐ必要な技術ではありませんが、近い将来、世界的にも必ず求められる、必要不可欠な技術です。
この技術を武器に、さらなる企業価値の向上を図っていき、皆さまのご期待に沿えるよう努めてまいります。
今後ともより一層のご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

アサカ理研では、創業当時から限りある資源を再生し、そこに眠る可能性を次に繋げてきました。その文化が全社員に根付いていると思います。
その文化を、創業者のチャレンジ精神とともに受け継ぎ、歩みを止めず社会に貢献していきたいですね。